2018/01/12

「オープン ダイアログ」で統合失調症が回復する

  (春が待ち遠しいので、こんな写真を選びました)


今、統合失調症の患者さんを対象とした「オープン ダイアログ」と呼ばれる治療システムが

注目されています。


この治療システムは、フィンランドで開発された”対話によって精神病を改善・治療する”

というもので、患者さんが家族と共に専門家医療チームとの対話を重ねることで、

向精神薬等の薬に頼らなくても危機的状況を抜けることが出来て快方に向かうといわれ

ています。


近年、このシステムの高い有効性が実証されるようになって、ここ日本でも関係者の間で

大きな話題になってきました。


フィンランドで、専門家による家族療法の研究が始まったのは1980年頃からでした。

ボスニア湾に面した都市トルニオにあるケロブタス病院で、入院患者さんを地域に移して

支援するための新しい心理的治療方法の開発ということで始まりました。


30年の年月を経る間にたどり着いたこの方法では、


〇患者さんの家族等から病院に相談の電話が入ると、その電話を受けた人が責任を持っ

 て医師、看護師、精神保健福祉士、心理士などから構成される治療チームを編成して

 24時間以内に患者さんの自宅を訪問し、「オープンダイアローグ(開かれた対話)」と

 いわれるミーティング(即ち、治療)が開始されます。


〇ミーティングの場所は患者さんの自宅となることが多いということですが、

 それは病院に出向いて診察を受けるよりも、自宅で家族や親戚と共に治療チームを受け

 入れたほうが、患者さんにとってのストレスが軽減されるからです。


〇この治療チームのメンバーは、全員がケロプダス病院で家族療法に関する3年間の

 トレーニングを受けた専門家ということです。


〇ミーティングの参加者は、患者さん本人とその家族、治療チーム、そのほか家族の親戚

 や患者さん本人の親しい友人など、患者さんにとって大切な人であれば誰でも良いという

 ことです。


〇患者さんや家族から話を聞いている間、治療チームのメンバーは傾聴に努めます。 

 ここでは、傾聴こそが相手に問いかけること以上に大切であるとされています。


〇例えば、妄想を語る患者さんに、「私にはそんな経験がないので想像がつかないから、

 みんなに分かるように詳しく説明してもらえませんか」と語りかけることによって、

 患者さんは自分の体験を説明し始めます。


〇その際、聞き手は妄想を一方的に否定するのではなく、あくまでも傾聴を基本として

 「ダイアローグ(対話)」を重ねることが重要であるとされています。


〇そして、このミーティングは1回あたり1~2時間で、危機が去るまで毎日のように

 続けられます。


オープンダイアローグが他の治療法と一線を画している重要な原則の一つは、

本人抜きではいかなる決定も方針も出さないという点にあります。


投薬や入院、そして治療に関する決定はすべて、本人がいる対話の場で決められます。


また、今後の治療の進め方については、治療チームの専門家同士の意見交換を患者

さん本人や家族も聞いているオープンな場で行ないます。


このような隠し事のない安心できる対話の流れの中で、患者さんを中心とする連帯感が

生まれ、多くの場合、患者さんの症状が治まって、薬の服用もせずに元の生活に戻れる

ようになるといわれています。

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コメント

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こんばんは

これは嬉しいでしょうねぇ。
治療方法が自分に合えば、症状が改善されていくって事でしょうからね。

確かに、治療でのデメリットを隠されるってのは嫌だよねぇ。
家族でも本人でも、同じ立場になったらそう思いますもん。
いい面も、悪い面も教えてくれる方が決められるよね~。