不幸は幸福への始まり(5)

大好きな母がどうして私の本当の母でないのか?私は本当の母であってほしかったと思ったものです。
しかし、どんなに立派な育ての母だとしても所詮、堕落人間です。
夫婦喧嘩も何度かありました。その中で、私が関係した大きな喧嘩が2回ほどありました。
その一つは、父が私に物を買ってくれたことが原因でした。
それは中学3年のお正月のことでした。
その年は父の会社の景気が悪く、ボーナスも本当に少なくて、母は家計をやりくりして、やっとのことで
お正月を迎えることができたようです。
そのお正月に、父はバスで1時間30分ほどもかかる家から遠い場所にある大きな町に私と弟を連れて
行ってくれました。
そこで父は私にオーバーコートを買ってくれました。
私は何度も「いらない」といったのですが、父は私の気持ちなど気にせずに買ってしまいました。
私は「いらないのに」と思いながらも少しは嬉しい気持ちになりました。
しかし、この買い物が家に帰って大きな事件になるなど、その時は考えてもみませんでした。
私がコートを着た姿を見るや、母はびっくりするよりもすごい剣幕で父に食ってかかり、ついに大喧嘩に
なってしまいました。
挙句の果てに母は「別れる」とまでいいだしました。
祖母は私のそばで、私と一緒に小さくなってうずくまり、黙って喧嘩が収まるのを待っていました。
次の日のことです。
家から歩いて40分ほどのところに母のお兄さんが住んでいるのですが、母は私と弟を連れてそこへ
出かけて行きました。
兄に相談するためでしょう。
私はその場所に私も一緒に連れて行かれたことが不思議で、当時の母の気持ちが未だに理解できません。
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